ARTWORK

希求

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工芸:Encadrement(アンカードルモン、フレンチスタイルによる額装)
素材:洋紙、厚紙、スチレンボード、PPボード
寸法:422㎜×346㎜
手法:ラビとダブルマットを立体的に組み合わせたオリジナル額装マット。
伝統的なラビマットを切断し、間に透明な板をはさみ、十字の形に光が透過するようにしている。
断面部分は3㎜の厚みで奥行きを持たせている。
画像もオリジナル。


カテゴリー: 工芸
タグ: [第9回みんなの美術展応募作品, オリジナル, 未発表作品, フランス, 伝統工芸, アンカードルモン]
苦しい時に祈りたくなるような作品を作ってみました。
木製のマリア像に合わせてクラシックなラビのテクニックでマットを飾りました。
ラビはラインを描いたり彩色したりする技法で、ヨーロッパでは昔から宗教画を飾るために用いられました。
今回はそのラビにオリジナルの光窓を加え、現代的にアレンジしました。
窓際に飾るとステンドグラスのように光を透し、壁にかけるとPPボードの茶色が見えます。
夜は照明で光らせるという楽しみ方もできます。

第6回みんなの美術展みなーと注目作品賞 受賞
第10回みんなの美術展みなーと特別賞 受賞
ありがとうございます。

 フランススタイルの額装・アンカードルモンを始めて15年以上になります。アンカードルモンはフランスの伝統工芸で、額に収めるという意味です。額縁をよく使う方はご存知だと思いますが、この額に収めることを「額装する」といいます。

 日本の一般的な額装とは、機械切りの既製マットボードを入れて額仕立てにすること、ではないでしょうか。日本で使用する額装マットはマットボードと呼ばれ、いくつかの見本の中から紙質や色を選びますが、このマットボードの使用では種類が限定されてしまいます。しかも、額縁と作品が同じ大きさの場合など、日本では額装マットを使用しないことも多いのです。

 一方、フランスでは作品保護も兼ねて額装マットを重視しています。額縁が必要な際は中に入れる作品を持って額縁専門店に行き、額装マットと額縁を新たに注文するのが一般的です。既製品は使わないので飾りたい作品を額縁の大きさに無理に合わせることもありませんし、あらゆるマット素材から製作できるため、フランスの額装マットは自由度が極めて高いです。飾りたい作品と額縁とのバランスを考えてマット台紙をデザインし、選んだ素材を台紙に貼り、製作した額装マットと共に額に入れて密閉する、これがフランススタイルの額装方法なのです。アンカードルモンでは、このフランスの額縁専門店のような作業を行うとイメージしていただければわかりやすいかと思います。

 額装マットとは額縁のガラスと作品の間に挟んで使用する台紙のことですが、アンカードルモンは主にこの額装マットを様々なテクニックで手作りする工芸です。絵画や写真など、中に飾る作品と額縁の境界に余白を取り、その部分に最適なマットデザインを選んで製作していきます。この工芸で作られた額装マットは古いものではヨーロッパの美術館などでも見られ、現在は新たに身近なものを自分で額装するクラフトとして、パリを始めとするヨーロッパで楽しまれています。

 フランスの額装と日本の額装は大きく違います。フランススタイルは額装マットのデザインが豊富にあること、様々なマットを組み合わせて立体的で奥行きのあるマットを製作出来ることなどがあげられ、どんな作品も華やかに仕上がります。また、額に飾りたい作品に合わせて一点ずつ製作するので、額装マットの色合いや形を中の作品イメージにより近づけることができます。様々なテクニックを組み合わせるとデザインは無限大であり、額装まで全て作品の作者自身で選んだり仕上げたりすることで、中の作品の世界が額縁の外側の空間まで広がります。

 アンカードルモンでは作品をより引き立て、寄り添うことを考えながら額装しています。細かい数字を計算して設計したり、色や形を考えたり、手切りで切り込みを入れるなど…完成までに色々な役割を担います。その内容は地道な作業も多いのですが、中の作品と額装マットと額縁が共鳴した時、私はとても喜びを感じます。フランススタイルの額装・アンカードルモンを通してアートを製作する方を支え、アートを愛する多くの方にこの工芸を知っていただくことが私の願いです。たくさんの方と知り会えることを楽しみにしていますので、どうぞお気軽にお声掛けください。

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